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HOO_house

箕面市 / 住宅 / 木造 地上2階 / 2014 / 撮影:笹倉 洋平

歩く、電車に乗る、バスを待つ、机に座る。よくある日常の行動である。その一日のおおよそ最初と最後に「上がる」がある。

この家は道路の突き当たりの敷地にあり、その奥には森が広がっている、終着駅あるいは始発駅のような要素を含んでいる。その森を活かしたいという施主の要望から、終着駅としての家の中に上がるという受動と能動を付け加えた。

敷地に対して小さく建てることは、一つの環境に対しての答えではないかと思う。小さく住み、敷地に十分な余裕を持たせ、夏は風を通すことで設備というよりも自然に近い環境とした。冬はリビングを2階にすることで、家の中で最も暖かい部分を中心とする計画とした。

LDKからは、南側の前面道路から建物をセットバックすることで、隣地との距離を十分に空け、東側には森が一面に広がる。また、北側には箕面市が遠景として見える開放された空間である。この3方の中で最も近く感じるのが東側の森であり、それによって建物からの森への一体感がよりいっそう増すことを意図した。

1階の玄関は夫婦共通の趣味の自転車を室内でトレーニングしたり、手入れをするスペースを設けた。壁は外壁と同じ素材のガルバリウム鋼板を接着張りし、緩やかに光を反射させた。上部に見える階段は自転車の延長となるフレーム形状とすることで、趣味としてのファクトリーと空間が広がり始める玄関としての機能をもった計画とした。

この住宅は、ようやく冬と夏を超えた。冬は2階に設置したLDKが比較的暖かく、主寝室は小さくすることですぐに暖まった。夏は十分すぎる程の風が通り、想像よりもエアコンを使う機会がすくなかった。

2階から見る景色が安らぎを与えてくれ、ほとんどカーテンの無い生活がよりいっそう開放感を与えてくれた。また、夕方や休みの日に山を秘密基地がわりに遊んでいる少年達を見るのも一つの楽しみとなっている。